企業実習つきの職業訓練とは 全国100コースの中身

職業訓練のなかには、教室での訓練に加えて実際の会社で働きながら学ぶ「企業実習」がついたコースがあります。ただ、どこで、どの分野で、どのくらいの期間なのかをまとめた情報はほとんどありません。このサイトに載っている募集中1,993コースのうち、コース名か訓練種別に「企業実習」とある100コースを集計しました。

この記事のデータ 2026年10月12日時点で当サイトに掲載している募集中の1,993コースから、コース名または訓練種別に「企業実習」を含む100件を抜き出して集計しました。出典は各コースページに記載しているとおり、厚生労働省ハローワークインターネットサービスの公開情報です。実習の期間や対象年齢は、各コースの説明文に書かれている内容を数えたもので、書いていないコースもあります。

企業実習つきの訓練とは

ふつうの職業訓練は、訓練校の教室や実習場だけで学びます。企業実習つきのコースは、それに加えて訓練期間の一部を実際の企業で過ごし、現場の仕事を体験するしくみです。100件のうち99件は訓練種別が「短期課程活用型デュアルシステム」となっています。デュアルシステムは、教育訓練機関での学習と企業での実習を組み合わせる訓練として、厚生労働省が平成16年から進めてきたものです。

コースの説明文には「実際の現場を体験し実践力が身に付きます」「企業実習での課題や問題点を解決する」といった書き方が多く、実習のあとに訓練校へ戻ってフォローアップを行うコースもあります。

企業実習は「就職」ではありません

実習中もあくまで訓練生で、実習先に雇われるわけではありません。実習先に就職できる約束もありません。山形のセンターのように「実習先企業にそのまま就職した方も多数」と書いているコースもありますが、これはそのコースの説明です。実習中の扱いや就職の見込みは、訓練校に確認してください。

どこで実施しているか

実施機関は偏っています。

高齢・障害・求職者雇用支援機構(ポリテクセンター)99コース
都道府県(福岡県)1コース
求職者支援訓練0コース

つまり企業実習つきの訓練を探すなら、まず近くのポリテクセンター(職業能力開発促進センター)のコースを見るのが近道です。掲載があるのは41都道府県で、今回のデータでは東京・大阪・愛知・岩手・長野・徳島には企業実習つきの募集中コースがありませんでした。時期によって変わるので、ないからといって制度がないわけではありません。

なお、訓練種別に「デュアルシステム」とあってもコース名に「企業実習」がないものが、ほかに25件あります。医療事務や事務系の「委託訓練活用型デュアルシステム」などで、民間の学校に委託して行う形です。今回の集計には含めていません。

分野は電気と金属が中心

訓練種別に書かれた分野で数えると、次のとおりです。

電気関連分野44コース
金属関連分野37コース
機械関連分野8コース
建設関連分野7コース
その他の分野4コース

コース名で多いのは「電気設備技術科」、ほかに機械加工・NC・溶接・CADなどのものづくり系です。資格の記載がある92件では、第二種電気工事士(13件)、第一種電気工事士(8件)、ガス溶接技能講習(6件)が上位でした。事務・IT・介護の企業実習つきコースを探している人には、選択肢がかなり少ないことになります。

期間と実習の長さ

訓練期間は6か月が51件、7か月が48件、12か月が1件です。7か月の48件のうち45件は、コース名からみて本訓練の前に1か月の「導入講習(導入訓練)」がつく形です。導入講習ではビジネスマナーやパソコンの基本などを学ぶと説明されています。

実習そのものの長さを説明文に書いているコースは37件あり、いずれも18日間〜約1か月でした。「5か月目に18日間」「6か月目に企業実習、7か月目にフォローアップ訓練」のように、訓練の後半に置かれるのが一般的です。

総訓練時間(中央値)714時間(企業実習つき100件)
同じ機構の企業実習なしコース667時間(594件)
定員(中央値)10人(企業実習なし全体は15人)

実習中の時間は、訓練校の時間割とは変わることがあります。宮城の5コースは「企業実習期間中の訓練実施時間は実習先企業の就業時間に合わせます(8時間訓練)」と明記しています。ふだんの訓練は9時〜15時台が多いので、実習の1か月だけ生活リズムが変わる可能性があります。子どもの送迎などがある人は事前に確認しておきましょう。

対象と費用

100件のうち60件が、対象を「概ね55歳未満」と書いています。若い人の再就職を想定したコースが多いということです。年齢を書いていないコースもあるので、気になる人はハローワークで確認してください。

受講料は無料で、テキスト代などの自己負担は中央値15,000円(3,000円〜70,000円)。36件が「訓練生総合保険」への加入(5,550円などと記載)に触れています。実習先へ行くため、保険加入を必須にしているコースが多いようです。作業服や安全靴も自分で用意するのが一般的です。費用の全体像は受講料無料でもかかる費用にまとめています。

100件すべてが公共職業訓練で、求職者支援訓練はありません。雇用保険を受けながら通う場合の扱いは失業保険をもらいながら訓練を受ける仕組みを見たうえで、必ずハローワークで確認してください。

いま申し込めるのは23件だけ

掲載している100件のうち、77件はまだ募集が始まっていません。いま申し込めるのは23件で、その締切は10月13日〜12月11日に集中しています。

申込開始が10月14件
申込開始が11月27件
申込開始が12月25件
申込開始が2027年1月11件

開講は12月〜2027年3月が中心です(12月24件、1月27件、2月27件、3月17件)。締切日が先でも、申込開始日より前は申し込めません。詳しくは募集開始日という落とし穴を参照してください。

就職率の見方には注意

就職率の数字が載っている54件では、直近年度の値の中央値が100%で、同じ機構の企業実習なしコース(362件)の中央値83%より高く出ています。ただしこの数字はそのコース自体ではなく、実施機関の過去の実績です。件数も少なく、実習があるから就職率が上がると言い切れるものではありません。読み方は訓練校の就職率をどう読むかで説明しています。

向いている人

現場の雰囲気を確かめてから就職先を決めたい人、ものづくりや電気の仕事が未経験で不安な人には、検討する価値があります。反対に、実習の時間帯や通勤先が変わるのが難しい人は、企業実習なしのコースと比べてみてください。どちらが合うかは、ハローワークの窓口や訓練校の説明会で相談するのが確実です。

まとめ

  • 企業実習つきは募集中1,993コースのうち100コース(約5%)。すべて公共職業訓練
  • 99件がポリテクセンター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の実施で、電気・金属・機械系が中心
  • 訓練期間は6か月か7か月がほぼすべて。実習期間を書いている37件は18日間〜約1か月
  • 60件が「概ね55歳未満」を対象と明記。定員は中央値10人と少なめ
  • 100件のうち77件はまだ募集前。申込開始日を確認してから動くこと

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