まず全体の数
募集中1,822コースの内訳は、公共職業訓練が1,432件(79%)、求職者支援訓練が390件(21%)でした。選べるコースの数だけで言えば、公共職業訓練のほうが約3.7倍あります。
ただし、どちらを受けるかは自分で選ぶものではなく、雇用保険を受けられるかどうかでおおむね決まります。この記事の数字は「どちらが得か」ではなく、自分が乗る制度ではどんなコースが多いのかを知るためのものとして読んでください。制度の分かれ方は2つの訓練の違いにまとめています。
| 募集中のコース数 | 公共 1,432件/求職者支援 390件 |
|---|---|
| 訓練校の数 | 公共 520校/求職者支援 339校 |
| 1年以上の長期課程 | 公共 227件/求職者支援 0件 |
| 定員の中央値 | 公共 15名/求職者支援 15名 |
期間と時間数
厚生労働省の案内では、求職者支援訓練の期間は2か月から6か月、離職者向けの公共職業訓練は「概ね3月~2年」とされています。実データもその範囲に収まっていました。
公共職業訓練には1年・2年の長期課程が227件含まれ、平均を押し上げます。そこで1年未満のコースだけで比べました(公共1,205件、求職者支援390件)。
| 期間の中央値 | 公共 6か月/求職者支援 4か月 |
|---|---|
| 訓練日数の中央値 | 公共 109日/求職者支援 72日 |
| 総訓練時間の中央値 | 公共 661時間/求職者支援 400時間 |
| 1日あたりの時間(中央値) | 公共 約6.0時間/求職者支援 約5.5時間 |
期間の分布も違います。求職者支援訓練は3か月116件、4か月100件、6か月108件と分散しています。公共職業訓練は6か月527件、3か月312件、7か月235件に集中していました。
総訓練時間で見ると、公共職業訓練のほうが中央値で約1.6倍長くなります。1日の時間も30分ほど長く、しっかり通う前提のコースが多いと言えます。通う時間帯の目安は1日何時間通うかの記事を見てください。
公共職業訓練の1年以上のコース227件のうち151件は授業料が必要です。受講料無料の短期訓練とは性格が違うので、長期課程の記事で別に整理しています。
自己負担(テキスト代など)
どちらも受講料は無料で、テキスト代などは自己負担です。各コースに書かれた自己負担額を1年未満のコースで比べると、次のようになりました。
| 自己負担の中央値 | 公共 14,039円/求職者支援 11,165円 |
|---|---|
| 自己負担0円 | 公共 9件/求職者支援 21件 |
| 1万円未満 | 公共 285件(24%)/求職者支援 163件(42%) |
| 3万円以上 | 公共 109件(9%)/求職者支援 19件(5%) |
求職者支援訓練のほうがやや安く、1万円未満のコースが4割を占めます。ただし差は数千円で、同じ制度の中でのばらつきのほうがずっと大きいのが実態です。気になるコースは個別に金額を確かめてください。何にお金がかかるかは自己負担額の記事にまとめています。
分野の偏り
いちばん差がはっきり出たのが分野です。
| 事務・経理 | 公共 293件/求職者支援 186件 |
|---|---|
| IT・Web | 公共 160件/求職者支援 112件 |
| 介護・福祉 | 公共 75件/求職者支援 25件 |
| 医療事務 | 公共 40件/求職者支援 22件 |
| 美容・理容 | 公共 7件/求職者支援 20件 |
| 製造・ものづくり | 公共 380件/求職者支援 3件 |
| 電気・設備 | 公共 251件/求職者支援 2件 |
| 建築・CAD | 公共 173件/求職者支援 3件 |
求職者支援訓練は事務とITだけで298件、全体の76%です。一方、溶接・電気工事・建築のような設備が必要な分野は、ほぼ公共職業訓練にしかありません。美容・理容だけは求職者支援訓練のほうが多くなっています。
また求職者支援訓練390件のうち78件は、元データで「基礎コース」と分類されたものです。パソコンの基本操作やビジネスマナーなど、仕事に戻る準備から始めるコースです。
事務・経理(1年未満)では、公共284件の期間中央値が3か月、求職者支援186件は4か月でした。IT・Webはどちらも中央値6か月です。分野をそろえると期間の差は小さくなり、全体の差の多くは分野の構成の違いから来ていると考えられます。
募集時期と申し込み方
申し込みの段取りにも違いがあります。
| いま募集前のコース | 公共 1,017件(71%)/求職者支援 169件(43%) |
|---|---|
| 締切から開講までの中央値 | 公共 32日/求職者支援 23日 |
| 募集が2回以上あるコース | 公共 256件/求職者支援 0件 |
| 自宅で受けられるコース | 公共 15件/求職者支援 60件 |
求職者支援訓練の掲載は、すべて2026年11月・12月に始まるコースでした。公共職業訓練は12月開講が442件と最も多いものの、2027年4月開講も235件あり、半年近く先まで予定が出ています。
そのため公共職業訓練は7割が「募集前」です。締切日が先でも、募集開始日まではまだ申し込めません(募集開始日の記事)。逆に求職者支援訓練は先の予定が出ていないことが多く、今ある中から選ぶか、次の募集を待つかになります。
募集が複数回あるのは公共職業訓練だけでした(複数回募集の記事)。一方、自宅で受けられるeラーニングのコースは求職者支援訓練が60件と多く、IT・Webでは112件中42件がオンラインです(eラーニングの記事)。
この数字の読み方
- 制度は自分で選べない。雇用保険の受給状況などでハローワークが判断します。まず窓口で、自分がどちらの対象かを確かめてください
- 求職者支援訓練は事務・ITが中心。製造や電気の仕事を目指すなら、公共職業訓練の対象になるかを早めに相談する価値があります
- 公共職業訓練は先の予定まで見られる。開講まで間があるコースも多いので、日程を逆算して選べます
- お金の制度も別。求職者支援訓練は条件を満たすと月10万円の給付金(条件)、公共職業訓練は失業手当を受けながら通う形(仕組み)が基本です
なお、今回の集計時点では東京都の募集中コースは0件でした。地域によって掲載の時期が違うため、数字は全国の傾向として見てください。