公共職業訓練と求職者支援訓練、数で見るとどう違うか(全国1,822コースを集計)

公共職業訓練と求職者支援訓練は、どちらも受講料無料のハロートレーニングです。制度の違いは別の記事にまとめましたが、実際に並んでいるコースの中身はどのくらい違うのでしょうか。このサイトに載っている募集中1,822コースを2つの制度に分けて、期間・時間数・自己負担・分野・募集時期を比べました。

この記事のデータ 2026年10月18日時点で当サイトに掲載している募集中のコース1,822件を、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」に分けて集計しました。出典は各コースページに記載しているとおり、厚生労働省ハローワークインターネットサービスの公開情報です。制度の説明は 厚生労働省「離職者向けの公的職業訓練」 と 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」 で同日に確認しました。

まず全体の数

募集中1,822コースの内訳は、公共職業訓練が1,432件(79%)、求職者支援訓練が390件(21%)でした。選べるコースの数だけで言えば、公共職業訓練のほうが約3.7倍あります。

ただし、どちらを受けるかは自分で選ぶものではなく、雇用保険を受けられるかどうかでおおむね決まります。この記事の数字は「どちらが得か」ではなく、自分が乗る制度ではどんなコースが多いのかを知るためのものとして読んでください。制度の分かれ方は2つの訓練の違いにまとめています。

募集中のコース数公共 1,432件/求職者支援 390件
訓練校の数公共 520校/求職者支援 339校
1年以上の長期課程公共 227件/求職者支援 0件
定員の中央値公共 15名/求職者支援 15名

期間と時間数

厚生労働省の案内では、求職者支援訓練の期間は2か月から6か月、離職者向けの公共職業訓練は「概ね3月~2年」とされています。実データもその範囲に収まっていました。

公共職業訓練には1年・2年の長期課程が227件含まれ、平均を押し上げます。そこで1年未満のコースだけで比べました(公共1,205件、求職者支援390件)。

期間の中央値公共 6か月/求職者支援 4か月
訓練日数の中央値公共 109日/求職者支援 72日
総訓練時間の中央値公共 661時間/求職者支援 400時間
1日あたりの時間(中央値)公共 約6.0時間/求職者支援 約5.5時間

期間の分布も違います。求職者支援訓練は3か月116件、4か月100件、6か月108件と分散しています。公共職業訓練は6か月527件、3か月312件、7か月235件に集中していました。

総訓練時間で見ると、公共職業訓練のほうが中央値で約1.6倍長くなります。1日の時間も30分ほど長く、しっかり通う前提のコースが多いと言えます。通う時間帯の目安は1日何時間通うかの記事を見てください。

長期課程は別物として考える

公共職業訓練の1年以上のコース227件のうち151件は授業料が必要です。受講料無料の短期訓練とは性格が違うので、長期課程の記事で別に整理しています。

自己負担(テキスト代など)

どちらも受講料は無料で、テキスト代などは自己負担です。各コースに書かれた自己負担額を1年未満のコースで比べると、次のようになりました。

自己負担の中央値公共 14,039円/求職者支援 11,165円
自己負担0円公共 9件/求職者支援 21件
1万円未満公共 285件(24%)/求職者支援 163件(42%)
3万円以上公共 109件(9%)/求職者支援 19件(5%)

求職者支援訓練のほうがやや安く、1万円未満のコースが4割を占めます。ただし差は数千円で、同じ制度の中でのばらつきのほうがずっと大きいのが実態です。気になるコースは個別に金額を確かめてください。何にお金がかかるかは自己負担額の記事にまとめています。

分野の偏り

いちばん差がはっきり出たのが分野です。

事務・経理公共 293件/求職者支援 186件
IT・Web公共 160件/求職者支援 112件
介護・福祉公共 75件/求職者支援 25件
医療事務公共 40件/求職者支援 22件
美容・理容公共 7件/求職者支援 20件
製造・ものづくり公共 380件/求職者支援 3件
電気・設備公共 251件/求職者支援 2件
建築・CAD公共 173件/求職者支援 3件

求職者支援訓練は事務とITだけで298件、全体の76%です。一方、溶接・電気工事・建築のような設備が必要な分野は、ほぼ公共職業訓練にしかありません。美容・理容だけは求職者支援訓練のほうが多くなっています。

また求職者支援訓練390件のうち78件は、元データで「基礎コース」と分類されたものです。パソコンの基本操作やビジネスマナーなど、仕事に戻る準備から始めるコースです。

同じ分野どうしで比べると

事務・経理(1年未満)では、公共284件の期間中央値が3か月、求職者支援186件は4か月でした。IT・Webはどちらも中央値6か月です。分野をそろえると期間の差は小さくなり、全体の差の多くは分野の構成の違いから来ていると考えられます。

募集時期と申し込み方

申し込みの段取りにも違いがあります。

いま募集前のコース公共 1,017件(71%)/求職者支援 169件(43%)
締切から開講までの中央値公共 32日/求職者支援 23日
募集が2回以上あるコース公共 256件/求職者支援 0件
自宅で受けられるコース公共 15件/求職者支援 60件

求職者支援訓練の掲載は、すべて2026年11月・12月に始まるコースでした。公共職業訓練は12月開講が442件と最も多いものの、2027年4月開講も235件あり、半年近く先まで予定が出ています。

そのため公共職業訓練は7割が「募集前」です。締切日が先でも、募集開始日まではまだ申し込めません(募集開始日の記事)。逆に求職者支援訓練は先の予定が出ていないことが多く、今ある中から選ぶか、次の募集を待つかになります。

募集が複数回あるのは公共職業訓練だけでした(複数回募集の記事)。一方、自宅で受けられるeラーニングのコースは求職者支援訓練が60件と多く、IT・Webでは112件中42件がオンラインです(eラーニングの記事)。

この数字の読み方

  • 制度は自分で選べない。雇用保険の受給状況などでハローワークが判断します。まず窓口で、自分がどちらの対象かを確かめてください
  • 求職者支援訓練は事務・ITが中心。製造や電気の仕事を目指すなら、公共職業訓練の対象になるかを早めに相談する価値があります
  • 公共職業訓練は先の予定まで見られる。開講まで間があるコースも多いので、日程を逆算して選べます
  • お金の制度も別。求職者支援訓練は条件を満たすと月10万円の給付金(条件)、公共職業訓練は失業手当を受けながら通う形(仕組み)が基本です

なお、今回の集計時点では東京都の募集中コースは0件でした。地域によって掲載の時期が違うため、数字は全国の傾向として見てください。

まとめ

  • 募集中1,822コースのうち公共職業訓練が1,432件(79%)、求職者支援訓練が390件(21%)
  • 1年未満のコースで比べると、総訓練時間の中央値は公共661時間、求職者支援400時間
  • テキスト代などの自己負担の中央値は公共14,039円、求職者支援11,165円
  • 求職者支援訓練は事務とITで76%。製造・電気・建築はほぼ公共職業訓練にしかない
  • 公共職業訓練は71%が募集前で、5か月以上先に始まるコースもある

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